研究課題
本申請は、RNA修飾酵素が、生命の三つのドメイン(真正細菌、古細菌、真核生物)の成立に伴って、いかに機能進化したかをタンパク質および基質RNAの構造に基づいて議論しようとするものであった。最終年度の本年度には、幾つかのRNAメチル化酵素について、極めて重要な発見を論文として公開することができた。(1) 葉酸依存性RNAメチル化酵素の試験管内酵素活性測定法を開発し、X線結晶構造解析にも成功し、世界に先がけて、本酵素の触媒機構を提案した。本酵素は、我々、真核生物は持たず、一部の感染性微生物が保持していることから、本研究は、感染性微生物防除の観点からも評価され、A-IMBN Research誌(アジア・太平洋地域の優れた自然科学研究を紹介するNature publishing groupのインターネットジャーナル)で、ハイライトに取り上げられた。(2) 超好熱菌の保持するTrm1遺伝子産物が、従来、知られていなかったマルチサイト選択性メチル化酵素であることを報告した。また、本酵素のX線結晶構造解析にも成功した。(3) 真正細菌に広く保存されているTrmB(tRNA (m^7G46)メチル化酵素)がRNA修飾ネットワークの鍵因子として機能していることを報告し、TrmBおよびm^7G46修飾が極限環境生物においてより重要であることを指摘した。(4) プロテインノット型RNAメチル化酵素の前駆体RNA認識が多段階反応から構成されていることを報告した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (25件) 備考 (2件)
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