研究課題/領域番号 |
19350092
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山下 敬郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科(研究院), 教授 (90116872)
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研究分担者 |
西田 純一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (70334521)
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キーワード | 有機半導体 / 有機トランジスタ / 有機エレクトニクス / 機能材料 / 合成化学 / 電子供与体 / 電子受容体 |
研究概要 |
新規なp-およびn-型の有機半導体を開発し、これらを活性層に用いたFETデバイスを作製した。P-型半導体としては、テトラチアフルバレン(TTF)誘導体およびπ系を拡張したビニローグ体を新規に合成した。TTFビニローグ体からはホール移動度0.36cm^2/VsのFETを作製できた。また、半導体の単結晶構造解析を行い、構造と物性の相関を明らかにした。一方、n-型のFETとしては、中心のπ電子コアにピリミジンを用いた化合物について検討した。ピリミジンは電子受容性は高いが、基板との相互作用により、分子が基板に寝てしまう欠点がある。SiO_2基板をHMDS処理することで相互作用を減少させることで移動度を0.02cm^2/Vsまで向上できることを見つけた。一方、カルボニル基は電子受容性が高いことから、π系にカルボニル基を導入した分子を設計し、高い電子移動度のFETを実現した。さらに、キノン類は強いアクセプターとして知られているが、従来、n-型半導体として利用されていなかった。そこで、トリフロロメチルフェニル基を導入したアントラキノン誘導体を合成し、FETデバイスを作製した所、0.07cm^2/Vsの移動度を実現できた。この結果は、キノン類がn-型半導体として有望であることを示している。 また、空の2p軌道を有するボロン原子を含むπ系は興味深いが、従来、3価のボロン原子を含むヘテロ環のOFETに関する報告はない。これは安定化のために、嵩高い置換基の導入が必要なためである。本研究ではボロン含有の安定なヘテロ環としてボロン酸エステルに注目した。平面構造のボロン酸エステルを用いてFET特性を調べたところ、n-型特性は観測できなかったが、p-型特性を観測でき、ボロン酸エステル類をFETデバイスに初めて応用できた。
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