高性能有機トランジスタの実現のためには、革新的な有機半導体の開発が極めて重要である。本研究では新規な有機半導体の創出により高いキャリア移動度、高いオン-オフ値、低い閾値、高い大気安定性を示す高性能有機電界効果トランジスタ(OFET)(p-、n-、ambipolar型)を開発する。(1)有機半導体の分子設計では、半導体分子のフロンティア軌道エネルギー準位の制御を行い、トランジスタ特性と軌道準位との関係を明らかにし、閾値電圧に影響するキャリア注入の向上を図る。 (2)高いキャリア移動度に必要な強い分子間の相互作用に向けて構造制御の研究を行い、次元性の向上を目指す。構造制御としてπスタック構造の構築、分子間電荷移動、ヘテロ原子接触を利用する。さらに界面制御を目指して、半導体分子の末端置換基により分子配列の制御を行うと同時に、ゲート絶縁層と半導体界面での相互作用を制御する。
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