研究概要 |
メソゲン側部に塩素置換基を有するキラル液晶を合成した。この液晶に等温下で電界を印加すると,プレーナー状態からフォーカルコニック状態への転移を生じた電界印加で相転移した後に,その印加電界を交流矩形波にすると,液晶は応答の速い明暗のスイッチングを示し,さらに5nC/cm^2程度の自発分極を示した。そして自発分極の温度依存性と液晶の傾き角の温度依存性は一致していた。印加電界を切ると液晶は速やかにもとのコレステリック相に戻った。以上のように,この液晶は電界の印加によって通常のコレステリック相から強誘電性を示す相に可逆的に転移する。そして電界によって転移した相は電界の極性によって自発分極のスイッチングを生じるため,この液晶はコレステリック相⇔上向き電界状態⇔下向き電界状態という3状態間のスイッチングが可能である。この液晶を,配向処理を施した液晶セル中に注入して電界を印加すると、フォーカルコニックテクスチャーはラビング方向に沿って成長した。これは、フォーカルコニック状態でのコレステリック液晶の状態がラビング方向によって影響を受けているためであると考えられる。また、この液晶に重合性のビニルモノマーを混合し、プレーナー状態またはフォーカルコニック状態で光重合すると、それぞれの相状態を安定に保つことができることがわかった。
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