研究概要 |
複数種類の金属元素を含む酸窒化物には、金属窒化物と金属酸化物の機能性を融合した新しい機能性材料としての性質の発現が期待されてきた。ゲル化窒化合成法では、多様な金属塩原料が均一に混合した酸化物ゲル前駆体をアンモニア窒化するところから、様々な金属元素を組み合わせた複金属酸窒化物を創出できる。酸化物および窒化物イオンが金属イオンと結合すると、化学結合性がイオン性から共有性に変化するにつれて化合物において様々な相互配置によって高い機能性の現れることを明らかにした。 本年度は以下の2項目の研究実績を挙げた。 1) ペロブスカイト型Ca_<1-x>Eu_xTa(O, N)_3(0≦x≦1)の構造相転移 全組成域においてCa_<1-x>Eu_xTa(O, N)_3固溶体の単一相が得ら、れ、組成域0≦x≦0.4では斜方晶、0.4≦x≦1では立方晶に相転移した。立方晶ペロブスカイトEuTaO_2Nを高温ポストアニールすると、結晶性が向上するとともに正方晶へ相転移した。再窒化すると立方晶に戻り、両者ともにほぼ定比のEuTaO_2N組成であったところから、立方晶は正方晶マイクロドメインの集合体であることが判明した。 2) ゲル化窒化合成したNb-Al系酸窒化物のアニール効果 Nb_<1-x>Al_x系においてゲル化窒化合成すると、岩塩型の新しい複金属酸窒化物が生成することを前年度に見出した。T_c=10K以下での超伝導を示したものの、体積分率が数%と低く結晶性も不十分であった。x=0.5の生成物を石英管中に真空封入後1150℃でアニールすると、α-Al_2O_3などの異相が現れたもののNb-Al酸窒化物の結晶性は向上し、超伝導体の体積分率は41%まで増加した。1700℃でホットプレスすると48%まで増加した。
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