平成19年度において、研究提案し従い、白金単結晶電極におけるジメチルエーテル(DME)の電気化学的酸化反応機構の解明に関する研究をはじめた。白金単結晶低指数面であるPt(111)、Pt(100)とPt(110)及びいくつかの高指数面Pt(hkl)の電極表面において、DMEの電気化学的酸化活性について調べた結果、白金単結晶電極の表面構造に大きく依存していることが分かった。特に(100)のテラスをもつ白金単結晶電極において、DMEの電気化学的酸化反応において、大きな触媒活性を示すことを見出した。その最新結果を速報としてJ. Phys. Chem. Cに投稿し、公表した。今年度において、より重点的にPt(111)電極におけるDMEの電気化学的酸化過程に対する電解質溶液、電極電位、電位走査速度およびDME濃度についてより詳細に測定・検討し、フールペーパーとしてまとめてJ. Electroanal. Chem.に投稿し、受理された。いま現在、同じことについて、Pt(100)および他の高指数面についても詳細に検討している最中であり、来年度においてフールペーパーとして完成したいと計画している。これと並行し、白金多結晶電極表面におけるDMEの電気化学的酸化過程について、その場赤外分光法により追跡し、DME酸化過程における反応中間体である(CH_3OCH_2)_adを初めて同定でき、また安定中間体のCOとの変換過程の追跡にも成功した。その結果の一部を国際電気化学会誌のElectrochim. Actaに投稿し、受理された。今、白金単結晶表面でのその場赤外分光測定および電気化学走査型トンネル顕微鏡(EC-STM)測定にも着手し、電極表面構造と反応機構・反応性の関係解明を目指したいと研究を進めている。
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