研究概要 |
ナノ細孔性MOFのうち、2D錯体[Cu(bpy)2(BF4)2](bpy=4,4'-ビピリジン)は、ゲート吸着現象を示す。また、対陰イオンとしてトリフルオロメタンスルフォン酸イオン(OTf)を用いて得られる2D錯体[cu(bpy)2(OTf)2]は、2段階ゲート吸着を示す。昨年度は、この2D錯体の金属をCuからCoに換えて、その効果を予備的に検討したが、今年度は、この物質のN2,CO2,及びO2吸着を詳細に検討し、構造が類似である[Cu(bpy)2(OTf)2]と[co(bpy)2(OTf)2]錯体の気体吸着における相違点を明らかにし、その要因を推定した。単結晶構造解析からCu2+の配位構造はヤンテラー歪みが大きく、その配位空間は[Co(bpy)2OTf)2]のものと異なることが明らかになった。これに基づきCO2吸着や02吸着において、2つの錯体系で異なる吸着挙動を示すと結論した。 昨年度、[Cu(bpy)2(BF4)2]をエタノールやメタノールで処理することにより、そのCO2吸着の吸着開始圧が下がることを明らかにしたが、今年度さらにプロパノールの効果を調べた。これらの結果から、ゲート吸着開始圧力は溶媒の相互作用パラメータと相関関係があることを明らかにし、ゲート吸着機構を解く手がかりを与えた。適切な相互作用パラメータをもつ溶媒を用いることで、ゲート吸着開始圧の制御が可能であることを示唆した。 2D錯体[Cu(bpy)2(BF4)2]粉末を用いるカラム吸着法により、CO2/ヘリウム混合気体からCO2のみを吸着することを確認した。CO2吸着量を定量的に評価できる方法を確立した。
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