研究概要 |
本年度は、5d→4f電子遷移による発光を持つEu_<2+>アルカリ土類シリケート結晶{M_2SiO_4,MSi_2O_5など,M=(Ba,Sr,Ca)}に注目し、新規ガラスセラミックス(GC)蛍光体として、そのホスト組成の選定・合成条件最適化、及び結晶構造・発光特性についての検討を行った。字数の関係からEu_<2+>:BaSi_2O_5系GC蛍光体について記す。 析出結晶組成とガラス組成を等しくできるβ-BaSi_2O_5結晶組成のガラスを作製、熱処理によりGC蛍光体を作成し、その結晶化挙動を明らかした。得られたGC蛍光体についてXRD・電顕(SEM,EDX,CL)にて、構造解析・組成分析、及び形状観察を行った。また発光特性をLED励起による積分球全光束測定により調べた。 ・900℃以下の熱処理によりまず現われた結晶は、出発組成より僅かにBa-richなBa_3Si_5O_13,Ba_5Si_8O_<21>結晶で、900℃でα-BaSi_2O_5結晶析出、950℃以上でβ-BaSi_2O_5に相転移した。結晶化に伴い、Eu^<2+>の配位環境は変化し、その発光中心波長は、ガラス状態から最終の析出結晶により550nmから490nmへとシフトした。 ・結晶核生成と発光特性の相関について調べ、核生成プロセスを変えることで結晶量・結晶性、発光効率が変化した。 ・β-BaSi_2O_5結晶蛍光体とβ-BaSi_2O_5GC蛍光体の発光効率の比較を行った結果、GCの量子収率(%)は同結晶のそれと同程度であることが判った。一方で、同条件で観測した全放射束強度(mW)は、GCの方が約10倍強かった。
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