研究概要 |
窒化物系青色発光ダイオード(LED)の開発以来、一般照明用の白色LEDの開発が期待されている。高出力・長時間動作可能なデバイス化にあたり,大きな課題となっているのは,封止樹脂の劣化である. 本研究では,希土類含有透光性セラミックスに注目し、その組成として,高い量子効率を持ち,許容遷移である5d-4f遷移によってブロードな黄色発光を示すYAG:Ce^<3+>を選定した. 透光性セラミックスの材料粉末を得る合成方法として,共沈法を用いた. 出発原料にはY(NO_3)_3・6H_2O,Al(NO_3)_3・9H_2O,Ce(NO_3)_3・6H_2O(0.1mol%添加)を用いた. 共沈法によって得られた粉末に対して,凝集分散工程によって粒径を均一化し,真空で1780℃で焼結することによって本試料を得た. 得られた試料の粒径サイズは数〜十数umで透光性を有しており,可視領域において透過率が約80%で波長に対してほぼ一定であった. 励起・発光スペクトル測定の結果,330nm及び460nmに強い励起ピークを持つことがわかった. また,530nm付近をピークに持つCe^<3+>の5d-4f遷移によるブロードな発光が見られた. 465nm LED励起における色度座標測定の結果,試料の厚みが増加するにつれてその発光色は,青色領域から黄色領域にシフトすることがわかった. また,厚さ0.60〜0.75mmの範囲で,白色点(0.33,033)に近い座標(0.3〜0.35,0.3〜0.35)を示し,青色光との組み合わせにより白色光を実現できることがわかった. この時の光源効率の最大値は,蛍光灯の光源効率80lm/Wと同程度の73.5lm/W(厚み0.632mm)であった. 以上の結果から,希土類含有透光性セラミックスは白色LED用蛍光体材料として優れた発光特性を有しているといえ,今後,高出力白色LED用蛍光体としての応用が期待される.
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