研究概要 |
本年度は、白色固体光源用希土類含有透光性セラミックス蛍光体材料の創製とその光物性評価を試みた。この透光性セラミックスを、共沈法により得られるナノ粉体を用いた焼結法により作製した。この材料では内部での散乱を減らすために光学等方体である立方晶系の結晶を用いる必要があるが、本研究ではその最適な組成として、立方晶系(光学等方体)の結晶構造を持ち、高い耐熱特性および優れた発光特性を持つCe : YAGに着眼した。また発光波長を変化させるために、Yサイトを希土類イオンの中で可視域において光学的に不活性であるGd^<3+>で置換し、配位環境の制御を試みた。 作製した試料は高い透過性を示し、透過率スペクトルの測定において、800nmにおける透過率は最も透過性の高い試料で約80%を示した。発光スペクトルの測定から、Ce : YAG試料は、465nm励起において530nm付近をピークに持っCe^<3+>の5d→4f遷移によるブロードな黄色発光が見られた。また、Gd^<3+>をYサイトと置換した試料は、Gd^<3+>の濃度の増加に伴って発光波長が530nmから560nmまで変化することを確認した。また、その発光色の色度座標(光の色をxyの平面座標で表したもの)を青色LEDを励起光源として測定してみると、厚さの増加に伴って、励起光の強度が減少しCe^<3+>の発光が増加することがわかった。その鍍座標は厚さ0.5~0.7nmの範囲で、色度図で白色領域(x, y)=(0.33, 0.33)に近い座標を示し、青色光との組み合わせにより白色光を実現できることがわかった。加えて、その発光色はG^<d3>+の濃度の増加に伴って、発光色が白昼色から温かみのある電球色に変化することを確認した。また、LEDと組み合わせ、デバイス化した場合の発光色の配光分布特性を調査するために波長可変光源及び積分球を用いた拡散透過率の波長依存性の評価システムを確立した。
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