研究概要 |
本研究では、二鎖型グルタミド誘導脂質から形成される分子ゲルネットワークをテンプレートに用い、無機および金属のナノメッシュを作製するとともに、ナノメッシュを用いた高感度センサー、精密分子分離材の開発を目的とした基礎研究を行なう。分子ゲルのネットワーク構造は分子の化学構造や濃度、温度などの外部環境により変化することを利用してナノメッシュの構造を制御するとともに、配向構造を界面に精密に転写することで、特異的な界面機能の創出を目指す。 今年度は、グルタミド脂質から形成されるネットワーク構造の安定化および安定化後の構造,機能の評価を行った。以下に研究の概要を示す。 1.アルコキシシリル基を導入したグルタミド脂質:脂質頭部に((EtO)_3Si)を導入したグルタミド脂質から形成される分子ゲル(ナノメッシュ)はポリマー化反応により,熱安定性が著しく向上することが確認された。また,ポリマー化によりゲルの物理的強度,熱的安定性は向上した。さらに,脂質分子のキラル配向構造がポリマー化後にも維持されることが確認された。 2.ポリマー-脂質複合体による分子機能の転写:イオン性を有するグルタミド脂質とカウンターパートを有するポリマーとの複合体について評価を行った。その結果,グルタミド脂質から形成される分子ゲル(ナノメッシュ)はポリマーと複合体を形成し,そのキラリティがポリマーに転写されることが確認された。さらに,得られた複合体からキャストフィルムを作製することで,転写キラリティが安定化されることが確認できた。 今後,分子ゲルのナノメッシュ構造を利用した複合体を利用した機能性材料への展開について検討する。
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