研究課題/領域番号 |
19360006
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田渕 雅夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90222124)
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研究分担者 |
竹田 美和 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20111932)
宇治原 徹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60312641)
渕 真悟 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60432241)
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キーワード | X線CTR散乱測定 / ヨハンソン分光結晶 / 既存の実験室系X線源 / 角度分散のあるX線 / その場測定 / 半導体結晶成長 / 回転移動不要 |
研究概要 |
本研究では、新しいX線CTR散乱の測定系を開発し、より広く一般に利用可能な測定法とし、さらには既存の結晶成長装置とも組合せ可能な新しい結晶成長その場観察手法とすることを目的とした。これによって、原子層単位で設計された半導体デバイス作製に大きな発展が期待される。これによって構造と機能を完全に人間が制御したナノ構造の作製を可能し、結晶成長、半導体物理、半導体デバイスなど様々な分野の発展に貢献する。具体的には、1)既存の結晶成長装置とも組み合わせ得る測定系の開発、2)強力なX線を発生する放射光源の様な特殊なX線源を不要にすること、3)測定の高速化を行なうこと、を目的に研究を進めた。 最も重要なポイントは、入射光に角度分散のあるX線を使用することで、試料結晶の角度を変化させてスキャンを行なう必要を無くし、実験室レベルのX線源でX線CTR散乱測定が可能とする点である。角度分散のあるX線源を使用するもう一つの大きなメリットは、結晶、検出器等、測定系を構成する要素を全て固定することができ、測定のために回転移動させる必要がなくなることである。 本研究ではこのような、角度分散のあるX線をヨハンソン分光結晶で実現し、検出器側には2次元X線検出器を準備した。個々の構成要素の設計と、測定系としての配置を検討した結果、集光結晶を用い、実際にX線CTR散乱測定が可能であることを実証することができ、目的の1), 2)を達成した。今回導入したヨハンソン結晶は約3度の分散角を有し、試験的な測定対象としたInP/InGaAs系の半導体結晶の002ブラッグ点周りの測定を行う場合、逆格子空間中での指数にして約0.4の範囲をカバーできた。また、約1分程度の測定時間でも得られたCTR散乱スペクトルは十分な質を有しており、目的の3)をも達成した十分有用な測定系が構築できたと言える。
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