深紫外領域の光機能をもつことが期待される酸化ガリウム(Ga2O3)半導体に着目し、高品質結晶育成のための結晶成長技術の確立と伝導性制御により波長300nm以下の深紫外領域での発光デバイスを目指して研究を行った。得られた成果を以下に示す。 1.分子線エピタキシャル(MBE)法によりサファイア基板上にGa2O3半導体薄膜の成長を行う条件を検討した。基板温度800度において結晶が得られたが、60度の回転ドメインの混入が認められた。これは基板が6回対称性をもつためであると考えられる。光吸収特性から禁制帯幅を求めたところ、約5eVという値が得られた。 2.Ga2O3基板を用いたホモエピタキシャル成長を行った。Ga2O3基板は表面平坦性に優れており、熱処理によってステップ・テラス構造が得られた。この上にGa2O3をMBE成長したところ、ステップフローによる平坦性の優れた成長膜を得ることができた。 3.Ga2O3基板の優れた特性活かしショットキー型光検出器を試作した。基板表面を熱処理によって高抵抗化しここにショットキー電極を付け、裏面にオーミック電極を付けた。波長270nm以下の光に対し、量子効率400%を越える光検出感度が認められ、ショットキー領域の空乏層による増倍が起こっていることが示唆された。またこの結果から、Ga2O3が深紫外域の光機能を持つことが示された。 現在のところバンド端発光が得られていないため、今後高品質化とInGaOを含めた多層構造によるデバイス化を図る予定である。
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