深紫外領域の光機能をもつことが期待される酸化ガリウム(Ga_2O_3)半導体に着目し、高品質結晶育成のための結晶成長技術の確立と伝導性制御により波長300nm以下の深紫外領域での発光デバイスを目指して研究を行った。結果として発光に関しては、Ga_2O_3の発光機構が予想以上に複雑であったことから、デバイスに至る高機能の特性を得ることができなかった。しかし受光に関しては高効率の深紫外検出器を実現し、さらにハイパワー電子デバイスにつながる発展的な成果を得た。得られた成果を以下に示す。 1.Ga_2O_3基板上に分子線エピタキシャル(MBE)法によりGa_2O_3および(AIGa)_2O_3半導体薄膜の成長を行い、ステップフローによる平坦性の優れた成長膜をAl組成0.4まで得ることができた。(AIGa)_2O_3/Ga_2O_3ヘテロ界面への電子の蓄積と高い絶縁破壊電圧を得てハイパワー電デバイス応用への展開が見られた。 2.Ga_2O_3基板によるショットキー型光検出器を試作し、高出力紫外ランプの直接モニタで数千時間の劣化がない特性を得る一方、通常の照明下でlnW/cm^2以下の弱深紫外光を検出する能力とその応用として高感度の炎検出を実証した。 3.熱的に安定なβ-Ga_2O_3のみでなく、高品質のα-Ga_2O_3をサファイア基板上へ成長する技術を見出した。これによりFeやCrの導入によって多機能の混晶半導体が得られ、光・電子・磁気融合デバイスへの見通しを得た。
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