研究課題/領域番号 |
19360008
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
吉本 昌広 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20210776)
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研究分担者 |
尾江 邦重 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20303927)
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キーワード | 半導体半金属混晶 / 発光波長温度無依存 / 分子線エピタキシー / ビスマス / III-V族半導体 / 多重量子井戸 / レーザダイオード / ホトルミネセンス |
研究概要 |
初年度は分子線エピタキシー法を用いてIn_xGa_<1-x>As_<1-y>Bi_yを成長し、組成に応じてピーク波長1.6から2.1μmのホトルミネセンス(PL)が得られた。しかし、発光強度が弱く発光波長の温度係数を明確に求められなかった。本年度は、In_xGa_<1-x>As_<1-y>Bi_yを含む多重量子井戸構造(MQW)を作製することで、In_xGa_<1-x>As_<1-y>Bi_yの発光強度の増大を図った。まず、GaAs_<1-x>Bi_x/GaAs MQWを製作した。従来、Biを含む混晶はBiの偏析が懸念され、MQWの製作は困難とされてきた。GaAs_<1-x>Bi_x/GaAs MQWの製作中に、反射高速エネルギー電子線回折強度の振動が見られ、MQWは一原子層ごとに成長できることが確認できた。(1)X線回折パターンでMQWに起因する明瞭なサテライトピークが確認できること、(2)試料の透過電子顕微鏡(TEM)像で、平坦な界面と乱れのない格子像が見られることから、Biを含有する混晶を用いてMQWが製作できることを、世界で初めて実証した。GaAs_<0.891>Bi_<0.109>/GaAs MQWからは、通信用波長帯1.3μmにおけるPL発光を室温において観測した。GaAs_<0.946>Bi_<0.054>/GaAs MQWの発光波長の温度係数は約-0.19meV/Kであり、GaAsの禁制帯幅の温度係数の約1/2に無依存化した。このMQWは、400℃程度での低温成長が必要にもかかわらず、800℃まで熱的に安定であった。Biを含有する混晶を含むMQWは、高温でのデバイスの製作プロセスに耐えることが明らかになった。次に、In_<1-y>Ga_yAs_<1-x>Bi_x/GaAs MQWを製作した。二次イオン質量分析とX線回折、TEM観察によりMQWが製作できていることを明確にし、ホトルミネセンス発光を得た。引き続き、製作条件の改善やアニールにより発光強度の向上を図る。
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