本研究は、表面が分子スケールで平坦な「有機単結晶フィルム」を積層したハイブリッソド構造の界面に新たな機能を有する雷子伝導面を構築することを目的としている。20年度までに、有機半導体の単結晶フィルムと絶縁性の有機単結晶フィルムを組み合わせて、結晶性の有機物界面を形成することによって、高移動度の電界効果回トランジスタ機能を発現することと、有機半導体の単結晶フィルムをべースとしたpnヘテロ接合を製作することを計画した。その結果、ルブレン分子を用いた単結晶フィルムを半導体層や、TCNQ分子を結晶化させて、高移動度め単結晶トランジスタを構築するなどの成果を得た。21年度は、これまでの気相成長による有機蛍結晶成長に加えて、溶液から結晶性薄膜を基板上に成長する方法を新たに見出した。回その方法では、基板上に構造物を置いて、基板を傾けることによつて、構造物の下端に保持された液滴が渇く方向を規定し、結晶成長を制御した単結晶フィルムを生成可能になった。これまでの溶液塗布による有機薄膜は、多結晶件のものしかなかったため、有機トランジスタの移動度は格段に向上した。得られた移動度ら5cm^2/Vsは、これまでに報告されている価の中で最高値であって、これまでの典型的な性能を1ケタ程度上回る性能であった。ここで、用いた半導体材料のBTBTにキャリアを注入する障壁が高いため、トランジスタ動作するしきい電圧が高くなる問題があった。これに対して、pnヘテロ接合の構築を通じて、電荷移動によっにキャリアをドープするという、本研究で得られた手法を適用した。結果、しきい電圧をほぼゼロにすることがでさた。以上の結果は、印刷法によって、これまでの限界を打ち破る高性能の有機トランジスタが製作できる基礎技術を開発したことに相当するため、産業応用に向行たインパクトが非常に高い。
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