研究概要 |
本年度は、前年度までに開発した電磁場を用いた加熱方法によるSiCバルク単結晶の昇華法に焦点を当て研究を行った。とくに、SiCバルク単結晶の成長速度、化学量論的組成等の炉構造依存性について今までに報告が無く、しかも結晶特性の見地から重要な知見を得ることが可能となった。今年度新たに開発した計算コードは、結晶表面と原料表面におけるSi,SiC2,Si2Cの平衡蒸気圧を考慮し、しかも両表面におけるKnudsen層を考慮することにより、SiCバルク単結晶表面の成長速度の2次元分布を世界で初めて解析することに成功した。さらに、SiCバルク単結晶の結晶成長には必須であるExtra box中の多結晶の成長速度等の解析にも成功した。 本研究結果から、1Torrの場合は重力場におけるアルゴンガスの対流を考慮する必要はないが、10Torrの学の圧力になるとアルゴンガスの対流を考慮する必要があることが明らかになった。従来の解析では、アルゴンガスの対流の効果は考慮されてはいなかったが、本研究の結果、この効果を考慮する必要があることが明らかになった。とくに4,6インチのSiCバルク単結晶の育成時には、顕著となることが分かった。さらに、SiCバルク単結晶の周辺の組成は、化学量論的組成に近い結晶が成長していること、また、炉内のアルゴンガス圧力を増加すると結晶成長速度は低下するとともに、化学量論的組成に近い結晶が育成されていることが明らかとなった。さらに、Extra boxの炉内の位置に対してSiCバルク単結晶の結晶成長が変化し、最適な位置が存在することを明らかにした。
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