研究課題/領域番号 |
19360020
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西垣 敏 九州工業大学, 工学研究院, 教授 (60126943)
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研究分担者 |
西谷 龍介 九州工業大学, 工学研究院, 教授 (50167566)
渡邉 晃 九州工業大学, 工学研究院, 助教 (80363406)
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キーワード | 準安定原子誘起電子分光 / 表面スピン状態 / 磁性超薄膜 / 表面ナノ構造 |
研究概要 |
本研究は、最表面電子スピン状態のより正確な測定、表面反応過程でのスピン状態変化、界面或いは分子層を通した電子トンネリングダイナミックスなどの究明を通じて、ナノ構造磁性の電気的制御の方向を探ることを目的とする。第3年度は、強磁性鉄シリサイド超薄膜形成実験(継続)、強相関反強磁性体NiO単結晶表面の表面電子状態のMIES分析を計画した。 (1) 磁性超薄膜の形成:GaAs表面、またSi表面上への鉄シリサイド超薄膜成長をAES分光で制御し、その表面電子状態を角度分解UPSで分析した。まだ強磁性(Fe_3Si相)超薄膜の確認に至っていない。 (2) NiO単結晶(100)表面電子状態の準安定原子誘起電子分光(MIES)による分析:表面のNi-O存在比1に近い表面と酸素欠損表面を準備し、ヘリウム準安定原子ビームを用いて表面最外層の電子状態スペクトルを得た。強相関物質電子状態計算の最新結果との比較から、局在性の強いNi3d-t_2g軌道にホールを2個残すオージェ遷移が起こりにくいことが判明した。強相関物質の電子状態研究にMIESが有効であることが示された。 (3) Ni単結晶(100)表面の酸化と還元過程の電子状態研究:MIES法を用いて、表面H反応速度は表面のNi-O-Ni原子鎖の密度に依存するというモデルの検証実験を行った。 (4) スピンMIESにおけるスピン依存オージェ電子放出の実験はビームのスピン偏極装置作動不調により充分な成果が出ていない。 (5) 表面吸着分子層を通した電子トンネリング研究の基礎データ取得のため、Biナノ構造/Si表面の金属フタロシアニン分子層のトンネル分光研究を行った。
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