平成19年度に作製した大面積ローラ装置を用いて、20年度は様々な材料のディウェッティングを試みた。その一つは、液晶分子の配向制御のためフッ素化合物で表面処理したガラス基板を用いてポリスチレンをディウェッティングしたことである。この基板から液晶セルを作ると5CBの液晶の配列が観察できた。ポリマードームとポリマードームの間、すなわちフッ素基板は5CBのホメオトロピック配向であるが、ポリマードームの上の液晶分子は別な配向を示した。この現象を用いることで、精密な配向角度の制御が可能になった。 また、低分子溶液のディウェッティングの可能性を探り、その結果ペンタセンなどの有機半導体材料を用いることで、有機FETの作製につなげたことも大きな成果であった。ボトムコンタクト型のトランジスタの移動度が予想外に高く0.6cm^2/Vsにもなることを突き止めたことがその理由である。 高分子溶液の濃度を1%まで上げると、それまで起きていたディウェッティングが起こらず、代わりに薄膜が作製されることはよく知られている。一方、その高濃度の高分子溶液を高湿度の条件下で塗布すると、今度は多孔質フィルムが作製されることは、比較的新しい発見である。これは、空気中の水分が有機層の上部に吸着して液滴ができ、均一なサイズを持つ水滴が2次元的に並ぶことで起こるものである。この多孔質フィルムの応用のためには大面積化が不可欠となるが、そのために、高分子多孔質フィルム上に酸化チタン光触媒を塗布し、高効率の光触媒を作製することに成功した。
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