平成19年度に作製した大面積ローラ装置を用いて、21年度は様々な材料のディウェッティングを試みた。平成21年度の主な研究結果: 1. ペンタセンを高沸点の溶媒(トリクロロベンゼンなど)に溶かし、ローラ装置を用いてマイクロファイバーを作成できた。ローラ装置の速度、基板の温度、ペンタセンの濃度によって、様々な結晶(ファイバー、プレートなど)を作成した。長さ1cm以上、幅1μm以下の細長いファイバーを作ることができた。マイクロ電極(25×25μmの電極ギャップ)を用いて、ボトムコンタクト型のトランジスターの移動度を1.6cm^2/Vsまで上げることができた。 2. ディウェッティング現象で完成したペンタセンのナノファイバーの上に、別な有機半導体材料をディウェッティングし、2層構造の作製に成功した。その2回目のディウェッティングで利用した材料はフラーレンなど低分子だけではなく、ポリヘキシルチオフェン、ポリフェニレンビニレンなどの高分子材料も利用できることがわかった。またその技術を利用することで、電子輸送とホール輸送トランジスターを作成することも可能になった。 3. グラフェンの懸濁液をディウェッティングし、マイクロサイズなグラフェン'アイランド'を作成できた。光の吸光度からアイランドはグラフェンの単層であることもわかった。 4. フッ化アルキールシランやPVDFの薄膜作成によってフッ素化した基板表面に高分子溶液をディウェッティングすることで、高い接触角を持つ高分子マイクロレンズの作成に成功した。
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