研究課題/領域番号 |
19360023
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
松下 正 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 名誉教授 (40092332)
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研究分担者 |
飯田 厚夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (10143398)
野村 昌治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (70156230)
稲田 康宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (60242814)
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キーワード | 鏡面X線反射率 / 時分割測定 / 多波長同時分散 / 薄膜 / 構造変化 / 彎曲結晶ポリクロメーター |
研究概要 |
測定中に機械的運動を何ら必要とせずに鏡面X線反射率曲線プロファイル全体を同時に測定し、サブ秒〜ミリ秒の時分割測定を可能とする方法を開発した。ほぼ平行な白色放射光を湾曲結晶(曲率半径10cm)に入射させると、反射されたX線は水平面内で収束してゆくが、波長λは収束方向の関数として連続的に変化したものとなる。このX線束を試料表面に対する鉛直方向での照射角αが水平面内のどの方向に向かうX線光路でも同じになるように入射させる。試料表面に対して垂直方向の散乱ベクトルq=4πsinα/λはαは一定であるがλが変化する(5〜10倍)ことにより扇形ビームの端から端に向かって連続的に変化し、試料後方においた1次元検出器でX線強度分布を測定するとX線反射強度曲線が得られる。 シリコン基板上のアゾベンゼンを分子中にもつ光応答高分子LB膜(6Az10pVA;9層)を形成し、波長375nmの紫外レーザー(CW、8mW)光を照射しながらX線反射率曲線を測定したところ、紫外光照射後10分程度からX線反射率曲線に変化が現れることを観測できた。今後、照射光強度を高めることによりさらに早い変化を追跡できる目処がついた。 結晶ポリクロメーターを用いる方法では、試料まわりのスペースが極端に狭く試料環境を制御する機器を置くことに大きな制約があった。これを改善するために楕円基板上に表面に沿って周期膜厚が5倍変化する多層膜光学素子を集光型ポリクロメーターとして用いる方法も開発し、シリコン基板上の金薄膜(14.3nm厚)や液体表面(エチレングリコール)からのX線反射率曲線の測定に成功した。
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