研究課題/領域番号 |
19360028
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
弘中 陽一郎 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (20293061)
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研究分担者 |
近藤 健一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (50111670)
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キーワード | 光学フォノン / パルスX線 / テープターゲット / 時間分解計測 / フェムト秒レーザー / x線回折 |
研究概要 |
本年度は、フォノン計測に最適化した極短パルスX線源に特化したシステムの開発を行った。線源の安定性を確保するためのテープターゲットの改良と、その調節機構を含めたチャンバーの設計製作を行った。ターゲットから飛散するデブリの影響を少なくするために、90度の放物面鏡に変更した。チャンバー外部から手動で集光系を操作できるようにし、X線回折象を測定しながら簡便に調整ができるようになった。X線源となる銅テープ部分の送り機構に関しても、ギヤ比によるトルクの増加を行い、従来から問題になっていた長時間計測における送り速度の変化に伴うX線の不安定化を改善した。レーザーシステムは、阪大の10TWフェムト秒レーザーを用いることで、さらに能力の増加を図ることができたが、現在、励起結晶の結露に伴うシステムの修理、調整に予想外の時間がかかっている。調整が終了次第、X線による光学フォノン測定を再開する予定である。 今年度で、パルスX線源側の開発は終了したので、来年度はパルスX線と同期した励起光側の改良を予定している。この改良は、本実験計画の根幹をなすフォノン計測を実施しながら行うものであり、パルス列励起に伴うフォノンの増加をX線回折像により測定しながら、最終的にはフォノン-フォノン相互作用における、コヒーレンスの効果を計測する予定である。X線回折像によりフォノンを計測することは、結晶構造と直接結びついた情報が得られ、かつ、理論的に複雑な過程を含まないため、計測信号の解釈がきわめて容易である。したがって、この測定法で測定された信号を示すこと自体にも大きな意義があり、複雑な光励起過程のフォノンのダイナミクス、特にコヒーレンスに関するダイナミクスを直接観測できるものと考えている。
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