研究課題/領域番号 |
19360040
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯田 敏行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60115988)
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研究分担者 |
加藤 裕史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40224547)
佐藤 文信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40332746)
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キーワード | X線マイクロビーム / マイクロフォーカスX線源 / 単一細胞照射 / マイクロチャンバーアレイ |
研究概要 |
本研究では、卓上型X線マイクロビーム照射装置を用いて、単一の神経細胞に照射し、細胞核の放射線照射効果を利用して、神経突起を成長させる分化制御技術を開発する。さらに、分化制御技術を利用して、任意の神経回路を形成することを考えている。 神経モデル培養細胞PC12は、放射線照射によって、NGF成長因子を必要とせずに神経突起を誘発することが報告されている。PC12細胞を放射線応答蛍光ガラス上に培養し、X線マイクロビーム照射装置でターゲット細胞を最大20Gyまで照射した。X線マイクロビーム照射装置は50kVマイクロフォーカスX線源とX線導管で構成され、ビーム径10μmのX線ビームをターゲット細胞に吸収線量率0.1Gy/sまで照射することが出来る。照射されたサンプル細胞は、細胞核内のDNA二重鎖切断の指標となるγ-H2AXについて蛍光抗体法で調べた。蛍光顕微鏡観察によって、ターゲット細胞の核内だけに強いγ-H2AX応答が観測され、DNA二重鎖切断が生じていることが確認できた。また、蛍光ガラス層からのフォトルミネスセンスを測定し、X線マイクロビームプロファイルが得られ、ターゲット細胞に対する吸収線量を正確に評価する技術を開発した。 また、照射後、インキュベータで培養し、光学顕微鏡観測を10日間続けた。ターゲット神経細胞の一部は細胞死せずに、神経突起を伸長するものが現れた。ただし、X線マイクロビームによって分化する確率は、これまでに報告されている通常のX線源で照射した場合と比べて小さいことが判った。
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