研究課題/領域番号 |
19360045
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
胡 寧 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60250685)
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研究分担者 |
福永 久雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50134664)
岡部 朋永 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50344164)
亀山 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30302178)
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キーワード | 損傷力学 / ヘルスモニタリング / ラム波 / 逆問題解析 / 波伝播解析 |
研究概要 |
将来の高速車輌や航空機における構造の信頼性・安全性の一層の向上を図るためには、疲労や異物衝突による損傷を非破壊的・自動的かつ実時間で検出する構造ヘルスモニタリングが重要となる。本研究は、次世代高速車輌や航空機の安全な運行に不可欠な技術として、複合材構造の健全性を運行中に定量評価するラム波による高精度構造ヘルスモニタリング技術の開発を目的とする。そのため、本研究では、高精度ラム波伝播解析法と信号処理法を確立するとともに、複合材構造の損傷位置、損傷範囲と損傷形態を定量的に評価する手法を確立する。平成21年度において、実施した研究の成果を下記のように示す。 (1)前年度に開発されたCheybeshev多項式に基づくMindlin pseudospectral plate要素を用いて、CFRP積層板における詳細なLAMB波伝播解析を行った。また、LAMB波がCFRP積層はりでのはく離損傷を通過する際に、反射波と透過波の特徴を得ることにより、はく離両端で生じた反射波の大きさを解明し、はく離位置同定の高精度化を実現した。さらに、LAMB波がはく離で起きたモード変換など複雑な現象を詳しく解析した。 (2)LAMB波のデータ処理のため、ウェーブレット変換に基づく一つ高効率と高精度な信号処理アルゴリズムを開発し、CFRP積層はりにおけるはく離からの反射波や透過波を抽出することにより、反射波や透過波の特徴を実験的と数値計算的に検討した。 (3)CFRP積層はりにおけるはく離での最大反射波の発生条件を対象とし、開発したMindlin pseudospectral plate要素を用いて、LAMB波の最適加振周波数および信号内のサイクル数を調べた。さらに、はく離部の固有振動解析により、下記のような最も重要な結論を得た:LAMB波の加振周波数がはく離部の固有振動数と一致するとき、最大反射波が発生する。つまり、最大反射波の発生が共振現象と一致していることを確認した。この成果に基づいて、加振信号の合理設計案も提出した。 (4)楕円状の損傷を想定し、損傷からの反射波の強さを評価することにより損傷大きさを推定する理論を提案した。さらに、楕円状の損傷の実験データを用いて、提案した損傷サイズの評価理論の有効性を検証した。
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