研究概要 |
1.結晶粒単体および多結晶体の解析 GN転位の自己エネルギーを考慮した均質化解析プログラム(平成19年度作成)を用い,結晶粒単体および多結晶体の2次元解析を行った.結晶粒形状は六角形とし,粒径はサブμm〜50μmの範囲で変化させた.また,粒界でのすべり拘束条件(マイクロハード条件)を仮定し,擾乱変位に関しては周期単位の境界で周期条件が満足されるとした.このような均質化解析を行うことにより,初期降伏応力の粒径依存性に関する解析的予測式(平成19年度成果)の妥当性が確かめられた.しかし,除化・逆負荷のもとでの降伏挙動に異常なバウシンガー効果が生じ,GN転位の自己エネルギーによる高次応力についての検討が必要となった. 2.累積GN転位密度の導入とこれに基づく高次応力の導出 除化・逆負荷のもとで反対符号のGN転位が現れると仮定することにより,累積GN転位密度を導入した.次に,累積されたGN転位の自己エネルギーを考え,その微分形から高次応力を導出した.この高次応力は,ひずみ速度こう配と同方向であり,等方的な性質を有することが示された.このような高次応力を考慮して,結晶粒単体および多結晶体の2次元解析を行った.解析条件は,上述の解析と同じとした.この結果,初期降伏挙動については何ら違いが認められなかったが,除化・逆負荷のもとでの異常なバウシンガー効果は生じなくなり,その有効性が示された.
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