研究概要 |
1.GN転位の自己エネルギーを考慮した有限要素方程式の導出 ひずみこう配結晶塑性理論に基づいた効率的な有限要素解析手法の開発を目的として,ひずみこう配結晶塑性を考慮した均質化方程式の陰的有限要素離散化を行った.高次応力にはGN転位(幾何学的に必要な転位)の自己エネルギーに基づくものを用い,後退オイラー法とニュートンラプソン法により巨視的ひずみ,擾乱変位,すべりの節点値を逐次反復的に求めるための有限要素方程式を導出した. 2.結晶粒への適用 構築した有限要素解析手法を正六角形結晶粒(大きさL)に適用した.結晶粒の大きさLは1μm,5μm,100μmの3種類とし,要素分割には8節点アイソパラメートリック2次要素を用いた.粒界では,すべりは完全に拘束されるとし,擾乱変位は周期条件を満たすとした.この結果,巨視的降伏応力の粒系依存性と高次応力の粒内での分布が数値的に求められ,これらの結果は前報で導出した解析解とほとんど完全に一致することが確かめられた. 3.計算効率の検討 上述の有限要素解析における時間増分とステップ数を準陰解法に基づく有限要素解析の結果と比較した.この結果,準陰解法に比べて時間増分については10~40倍大きくとることができ,ステップ数については1/2~1/5となった.このように本研究で構築した有限要素解析手法が優れているのは,完全陰解法に基づいて有限要素方程式が導出されているからである.
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