研究概要 |
本研究の目的は,静的な方法であったWindowed PSDHIを振動体の動的変位分布計測法に発展させることである.高速に撮影ができるようになると,振動やゆらぎの影響が低減でき,従来,デジタルホログラフィによる変位やひずみ計測が困難であった現場における検査に適用できるようになる.これにより,トンネル,橋梁,建物,機械など実物の粗面物体である構造物の動的応力ひずみ解析や振動変位解析が従来の方法より遥かに高速高精度に計測解析できるようになり,強度信頼性の確認ができ,安全性が増すだけでなく,既設構造物の長寿命化が可能となる. 本年度は次のことを実施した. (1)ピエゾ素子と光学素子を組み合わせた位相シフト機構を作成した.高速度カメラと同期させるために,ミラーによってレーザーを繰り返し反射させ,それによって得られた干渉縞の移動を利用してカメラのトリガーをかける装置を試作した.また,ピエゾによるミラーの移動量をあらかじめ計測しておき,そのデータを元に,電気回路によってトリガーを発生させる装置も試作し,それぞれ実験により有効性を確認した. (2)位相シフト機構と高速度ビデオカメラと同期した撮影システムを構築し,それによって,動的な物体の変位分布を計測する実験を行った. (3)マイクロマシンへの適用を行うために,顕微鏡レンズに通して計測を行うことを試みた. (4)その他,ソフトウェアのアルゴリズムを改良することで,高速な位相シフト撮影と解析が行えるようにすることや,顕微鏡レンズを通して計測する時に必要となる再生距離の実測でない同定手法の開発,三軸移動ステージを用いることによる画素ごとのキャリブレーション手法の改良など,本研究に必要な周辺技術の研究を行った.
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