研究概要 |
本研究では, 高温プレス成形を用いてガラス製超薄型フレネルレンズを製作することを目的としている. 平成20年度では,(1)最適成形条件の実験検討,(2)有限要素法によるガラスの流動成形メカニズムの解析および(3)多層膜有限要素モデルを用いた界面の力学的検討を行った. 具体的には : (1)最適成形条件の実験検討について, 開発した金型を用いてガラスレンズの成形実験を行い, 金型形状のガラスへの転写性について実験的に検討した. 成形温度, 成形圧力, 加熱速度, 冷却速度, 保持時間および基板のプリフォーム形状を変化させて, 成形したフレネルレンズの形状精度, 微細溝の転写性および表面粗さの変化について調査した. また, 離型膜の表面を測定し, 剥離の有無の確認を行った. これらの検討結果が, 今後金型および離型膜の最適化設計に基礎データを提供できるものと考えられる.(2)有限要素法によるガラスの流動成形メカニズムの解析について, 熱塑性および粘弾性有限要素法によりガラス成形過程における内部応力・ひずみ分布および塑性変形・流動メカニズムの解析を行った. そして各種の成形条件で得られた実験結果と比較することにより, ガラスの成形機構のモデリングを行い, 成形過程の可視化を可能にした.(3)多層膜有限要素モデルを用いた界面の力学的検討について, 界面における応力状態を解析し, 薄膜の種類や密着強度および応力・ひずみ状態との関係を調べた. これらの解析結果は, 今後実験で得られた離型膜の残留応力および剥離形態の観察結果と比較することによって剥離現象の力学的原因の考察に重要な指針を与えるものであると考えられる.
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