研究概要 |
光学素子やLSIの配線に用いられる微細構造の製造技術として,従来はリソグラフィ技術や微細粒子の自己組織化が研究されてきたが,リソグラフィは工程数が多くコスト,時間がかかることが問題で,粒子配列技術は可視光を用いる限り空間分解能が上がらないことが問題である。そこで本研究では,これら2つの問題を同時に解決する技術として,近接場光によって可視光の波長以下のパターンにナノ粒子を配列させて,それを転写することで微小パターンを形成する方法を提案する。そのために,(1)近接場光によって可視光の波長以下の微細なパターンの電磁場勾配を作ること,(2)それを利用して数nm〜数10nmの粒径を持つ超微細粒子(以下,ナノ粒子と呼ぶ)を配列させて別基板に転写すること,(3)さらに,空間の電磁場の偏光,強度分布を表面形状と同時に計測できる近接場光学顕微鏡を開発すること,の3点を目的とする。平成19年度は,(1)近接場光による電磁場勾配の創成,(2)ナノ粒子配列,転写のために,金属ナノ粒子のパターニング方法として,Si基板に塗布したシランカップリング剤の層をパターニングし,Auコロイド溶液に浸す方法を開発した。50nm四方のパッドによって,φ20nmのAu粒子を0個から4個の精度で位置制御することができた。それと並行して(3)電磁場勾配を測定するためにプラズモン導波路形プローブを用いたSNOMを開発し,作製したプローブの有効性を示した。また,上記の設計,条件検討において,FDTD法を用いて電磁場の数値計算を行った。
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