研究課題/領域番号 |
19360058
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
濱口 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任教授 (90345083)
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研究分担者 |
中尾 政之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90242007)
土屋 健介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80345173)
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キーワード | 近接場光 / ナノ粒子 / パターニング / 偏光 / 近接場光学顕微鏡 |
研究概要 |
平成20年度は、前年度に検討・実験した手法を用いて、(1)近接場光による電磁場勾配の創成、(2)ナノ粒子配列・転写の実験による実証、それと並行して(3)ナノインプリントによる近接場光パターニング表面の創出、(4)電磁場勾配を測定するための近接場光学顕微鏡の開発を行った。 (1)プリズムの全反射面に感光材料を塗布しておき、近接場光が当たったところに電磁場を生じさせる物性法によって、微細な電磁場勾配を形成した。また、感光材料として金属薄膜を成膜しておくと、そこに生じる表面共鳴プラズモンによって金属薄膜近傍に特定の流れ場が生じるさせることに成功した。 (2)上記の近接場光による電磁場勾配によって、ガラス基板上に金のナノ粒子を配列させることに成功した。また、基板上が流体で満たされているとき、金属薄膜の近傍の流れを微細な粒子のソーティングにも応用できる可能性を示した。 (3)プリズム表面上の近接場光の強さを変えるために、プリズム表面上に800nmピッチの小さな溝状の凹凸を付した透明基板を貼り付けた。この凹凸はロール型の金型を用いてナノインプリント法で転写した。 (4)近接場光顕微鏡のカンチレバー先端にナノワイヤ構造を付与してその1面に金をスパッタリングで成膜したときにプラズモン共鳴によって電場強度が大きくなることが分かった。実際にオリンパス製の原子間力顕微鏡のプローブを利用して、窒化珪素の表面に、アルミニウム(150nm厚)と金(50nm厚)をスパッタリングし、次にピラミッド状の先端をガラス製の回折格子上に滑らせて1辺200nmの開口を加工した。その後で長さ150nm、直径50hmのEBDナノワイヤを、開口の片端から伸ばし、その内側の1面に金(10nm厚)をスパッタリングした。このときの電場強度は、実験から、空間に何も無い場合に比べて、ナノワイヤを付けると1.5倍程度、さらにプラズモン効果が加わると3倍程度大きくなることが分かった。この結果はFDTD法によるシミュレーション結果と一致し、設計どおりの値を実現できた。
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