本研究を通して、以下に示す成果を得た。 (1)プリズムの全反射面に感光材料を塗布し、近接場光が当たった領域に電磁場を生じさせる物性法によって、微細な電磁場勾配を形成できた。また、感光材料として金属薄膜を成膜しておくと、そこに生じる表面共鳴プラズモンによって金属薄膜近傍に特定の流れ場が生じさせることに成功した。 (2)上記の近接場光による電磁場勾配によって、ガラス基板上に金のナノ粒子を配列させることに成功した。また、基板上が流体で満たされているとき、金属薄膜の近傍の流れを微細な粒子のソーティングにも応用できる可能性を示した。 (3)プリズム表面上の近接場光の強さを変えるために、プリズム表面上に800nm ピッチの小さな溝状の凹凸を付した透明基板を貼り付けた。この凹凸はロール型の金型を用いてナノインプリント法で転写した。 (4)近接場光顕微鏡のカンチレバー先端にナノワイヤ構造を付与してその1 面に金をスパッタリングで成膜したときにプラズモン共鳴によって電場強度が大きくなることが分かった。実験を通して、空間に何も無い場合に比べて、ナノワイヤを付けると1.5倍程度、さらにプラズモン効果が加わると3倍程度大きくなることを示した。この結果はFDTD 法によるシミュレーション結果と一致し、設計どおりの値を実現できた。
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