研究概要 |
ファイバ型PS/PDI(Phase-Shifting Point Diffraction Interferometer)の開発において,計測対象となるミラーの表面形状を反映した計測波面の解析は重要である.交付申請書の「研究の目的」においても記載したとおり,ミラーで反射した直後の波面はミラー形状そのものであるが,CCDカメラで計測される波面は空間伝播の過程において変化してしまっている.そこで,「研究計画」に記載したとおり,Helmholtz-Kirchhoffの積分定理を用いたデジタルホログラフィ位相解析法を開発した.この手法を用いて,既存の直径=200mm,曲率半径=1500mmの凹面ミラーのPS/PDI計測を模擬したシミュレーションを行った.その結果,特に(1)ミラーに局所的な形状誤差がある場合,(2)計測光に強度分布がある場合,(3)計測光光源がミラーの曲率中心からずれた位置にある場合,において計測される波面とミラー形状とは一致しえないことが分かった.しかし,同解析法を用いることにより,計測された波面データから真のミラー形状を再現できるようになった.これは実際の形状計測において非常に有効な解析手法であると考えられる. 一方,ファイバ型PS/PDIについては,2つの光ファイバからの回折球面波同士のPS/PDI計測を通じて,研究課題に記載のFOW(Fiber Optic Window)を用いる際の計測誤差の考察を行い,改良を行った.また,上記ミラーでの連続計測における計測値の再現性の向上を図った.主な改良点は,(1)光学部品の安定性向上による計測光量の安定化,(2)空気の揺らぎなどの長時間でゆるやかに変化するランダムノイズの低減を目的とした,計測レート=1000回/20分の実現,である.この結果,上記ミラーの20分間における連続計測の計測値の再現性はPV=2nm,RMS=0.49nmという結果が得られた.
|