研究概要 |
研究代表者は、製品モックアップ操作時のユーザの手指動作に関する詳細なデータの自動計測や入力インタフェース動作模擬を、製品モックアップ内部に設置した小型ビデオカメラのリアルタイム動画解析によって行なう、内部動画解析法を提案している。本研究では、手指動作に加え、ユーザの手指に生じる筋負担、製品外観に対する感性的印象評価や使いやすさに関する事前、事後の印象を統計的に解析することにより、製品ユーザビリティの総合的な評価を設計上流段階で行なうことを目的として研究を行なった。 まず、内部動画解析法によるユーザ手指動作のデータに加え、筋電計による製品モックアップ使用時のユーザ筋負担のデータ、製品外観に対する感性的印象評価や使いやすさに関する事前、事後の印象のアンケートデータを取得し、その関係を分析する手法およびシステムを試作した。 次に、多様な形状が可能で、ユーザビリティ設計の必要性が高く,身近なツールであるという観点から、マウスを対象製品として設定した。直線的/曲線的、縦横均等/縦長、中央凸/中央平/中央凹、左曲がり/直線/右曲がり、という形状特性の組合せによる11種類の形状バリエーションのモックアップを製作した。 被験者10名によりモックアップ11種類の使用実験を実施し、外観に対する事前の印象評価、画面に表示される点を順番にクリックするタスク実行時の所要時間、ミスクリック数、筋電計による筋肉負担、内部動画解析法を用いた把持状態の観察、およびタスク中の使いやすさの評価を行った。 その結果、外見の美的評価、使いやすさの事前、事後評価および客観的指標の間の相関関係の有無を明らかにした。形状特性と使いやすさの事前、事後評価の関係を明らかにした。 また、応力発光材料を用いた内部動画解析法による製品モックアップに作用する力の分布計測技術について、検討、試行を行なった。
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