研究概要 |
回転機械設備の精密診断法について基礎研究を行ない,次のような研究成果を得た。 1)回転機械設備の異常種類は構造系異常(低周波数領域),自励系異常(中周波数領域)および磨耗系異常(高周波数領域)に分類できるから,設備の使用環境や運転条件を考慮して,異常信号を最も敏感に検出できる計測手法を検討した。 2)現場で計測した診断信号に対して,従来のノイズ除去法の問題点を検討し,微小な異常信号を最も抽出し易い領域(時間、周波数領域)における解析を行い,統計情報量フィルタ,相関抽出法,遺伝的アルゴリズム、フィルタなどによる異常信号の早期抽出法を検討し,実データで検証した。 3)抽出した異常信号の特徴を表すために,時間領域と周波数領域の特徴パラメータ(基礎特徴パラメータと呼ぶ)を網羅的に定義し,基礎特徴パラメータの異常識別感度を現場データで評価し,異常診断に使いうる基礎特徴パラメータを選出した。 4)状態判定と精密診断を行うために,ファジィ、ニューラルネットワーク,多変量解析法,パターン領域変換法などの手法による基礎特徴パラメータの統合法について検討し,基礎特徴パラメータの再組織化による最適な統合特徴パラメータの自動生成法を検討し,諸方法を実行するためのプログラムを作成した。 5)自動生成した統合特徴パラメータを診断指標として,可能性理論や統計理論により異常の有無と異常の程度(早、中、末期)の判定法(判定基準:正常,注意,危険)を確立し,簡易診断の結果として,構造系異常(アンバランス,ミスアライメント,緩み等),自励系異常(自励振動や共振等),摩耗系異常(軸受傷や歯車異常等),流体系異常(キャビテーション,流体異常振動等)の識別方法を検討し,実データで検証した。
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