研究概要 |
本研究は,大気圧非平衡プラズマ流による生体反応機能性を発現するラジカルの生成輸送機構を解明し,次世代医療基盤技術の創成とその飛躍的な発展を目的とする. 平成19度には,目標とした超機能性ラジカル生成装置の製作,超機能性ラジカル生成輸送機構の電磁熱流動解析を行った.具体的には,新たに微弱発光分光装置を導入し,極微弱発光領域分析法と化学種計測法を確立し,下流域における化学種分布及び輸送過程を解析した.これにより,プラズマ下流域に生成されるアルゴン励起原子・イオン,窒素励起分子,OH分子および窒素酸化物の分布の違いを明らかにし,化学種により生成輸送過程が異なる事を解明した.また,極微弱発光分析法によりアルゴン励起原子が周囲空気との衝突により急速に減衰する一方,生成された窒素励起分子はなだらかに減衰することを明らかにした. また,19年度に目標とした,超機能性ラジカル生成輸送機構の生体反応解析は,活性酸素量を容易に検定できるルミネッセンサーを新たに導入し,プラズマ流と蒸留水との干渉により生成される活性酸素量の特性を明らかにした.プラズマ照射により蒸留水に生成される活性酸素量は急速に増大し,照射後ゆっくりと減少する.この時,過酸化水素がほとんど生成されていないこと,大腸菌の活性が阻害されることから,OHラジカル以外で寿命が比較的長い活性酸素が生成されることが明らかになった.また,OHラジカルによる細菌への影響についても検討した.これらの成果は,特許出願2件にまとめられている.
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