研究課題/領域番号 |
19360082
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
榊原 潤 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (10292533)
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研究分担者 |
加治 優一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50361332)
大鹿 哲郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90194133)
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キーワード | 流体工学 / 眼科学 / 医療機器 / 白内障乳化吸引術 / 可視化 |
研究概要 |
本年度は、眼内の三次元的な流動構造を調べることと、角膜内皮における壁面せん断応力分布を高精度に求めることを目的として、カメラ2台を用いたステレオPIV法により豚眼内の三次元三成分流速分布を計測した。さらに、昨年度開発した新型スリーブを豚眼内に挿入してその効果を調べた。従来型ハンドピースであるコアキシャル型およびマイクロコアキシャル型ハンドピースを豚眼に挿入し、ハンドピースから作動流体である水を吸引・噴射した。スキャニング・ステレオPIV法によって眼球内平均流速ベクトル三成分の三次元分布を求めた。角膜内皮の位置を高精度に計測するために、レーザ誘起蛍光法による壁面位置計測手法を新規に開発した。その測定誤差は約50マイクロメータと十分に小さい値であった。平均流速場から角膜内皮における平均せん断応力を求めた。その結果、コアキシャル型では3.5dyne/cm^2、マイクロコアキシャル型では7dyne/cm^2のせん断応力が観測された。なお、ここで求められたせん断応力は時間平均値であること、角膜近傍における速度の解像度が不十分であることなどから、実際の瞬時せん断応力は計測値を上回ると予想される。三次元流動の可視化結果から、ハンドピース先端を角膜から離れた位置に置くことで、ハンドピース先端から噴出された流体が直接角膜に衝突することを避けることができ、結果としてせん断応力を抑制できることが分かった。前年度に開発した新型ハンドピースをアクリル製容器内に挿入し、旋回流を噴出させた。流速分布をスキャニング・ステレオPIV法で計測したところ、噴出速度が最大で30%程度減衰することを確認した。さらに、豚眼前房内に新型ハンドピースを挿入し、同様に計測した。旋回噴流は局所的に形成されたが、速度の減速は不十分であった。今後、狭窄領域における旋回噴流の形成過程を詳細に調べ、ハンドピースの改良を行う必要がある。
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