研究概要 |
微小圧力変動の空間分布を計測するための感圧塗料(PSP)技術開発を進めた.陸上輸送機器の主要速度域である0(10m/s)の変動圧画像計測法を確立し,風洞実験のコスト低減,詳細な数値予測のための基礎データの提供を実現することを目的とした.流れの動圧レベル(100Pa)の計測を実現するために,(1) 任意の材質,形状の物体に「塗れる」高速応答型感圧塗料,および,(2) 感温塗料(TSP)とPSPの重ね塗りによる圧力・温度同時計測法,の開発を進めた.開発したPSP計測法に基づき,(3) 多様な風洞実験による非定常圧力場計測を行った.(1) では,超微粒子セラミックを用いた多孔質PSPを開発し,特許出願を果たした.(2) では,PSPの下地として塗布した感温塗料から得られる温度データを用いてPSPの温度補償を行う方法を検討し,温度,圧力ともに単体計測に匹敵する精度が得られる見通しを得た.(3) では,擬似衝撃波をともなう超音速ダクト表面,低速(20m/s)流用ファン表面,および,遷音速デルタ翼表面の圧力計測を行った.いずれも,流体機械,航空機応用を強く意識したものである.ダクト計測では光学的アクセス法としてボアスコープを用い,100Hz程度の変動を1kPa以内の精度でとらえることに成功した.低速流ファンでは,ファン回転と同期したレーザダイオードによる間欠露光を試み,1kPa程度の変動をとらえることに成功した.デルタ翼表面圧力計測では,1kHzの変動を1kPa程度の精度でとらえることに成功しており,より精度を高めるためのPSP/TSP画像データの処理法を検討し,PSPデータの温度補償法の改善が必要であることを見出した.
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