研究概要 |
深海底からのメタンハイドレートを回収するシステムとしてガスリフト法を提案し、その実用化及び高性能化を大型実験装置および数値解析により検討した。H19年度に作製した塔長5,5m、管径23cmの大型試験装置を用いて吹き込みガス量と上昇液流量のデータを測定し、独自に開発した一次元の二相流解析コードとの比較を行った。その結果、低流量領域では若干のずれが生じるものの、実験結果と数値解析結果は定量的に一致し、解析コードの妥当性が確認できた。また、管径の異なる3種類(5cm,10cm,23cm)の実験結果を比較し、解析結果が管径の違いを予測できることを確認した。 また、比重1.4と1.2のプラスチック球を模擬ハイドレートに見立てて下部タンクに約500個配置したところ、上昇流と共にハイドレートの吸い上げと回収が可能であることを確認した。この結果を数値的に検討するため、差分法に乱流モデルを組み込んだ流動解析と、離散粒子法を用いた模擬ハイドレートの粒子挙動解析の連成解析コードを開発し、回収されるメタンハイドレートの挙動及び回収性能を予想した。その結果、実機規模(管径1m)の回収管下端形状を角度45°程度の傘形状とすることで、最も効率よくハイドレート塊を回収可能であることを明らかにした。 さらに、メタンハイドレートの回収管内でのガス化を考慮した気固液三相流解析により、ガスリフトシステムの経済性を評価し、吸い込み位置でのハイドレート塊を5cm程度まで砕くことができればガスリフトに必要な動力を大幅に削減できる見込みを得た。 これらの結果の一部を、国際会議等で発表した。
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