研究分担者 |
越 光男 東京大学, 工学系研究科, 特任教授 (20133085)
津田 伸一 宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 研究員 (00466244)
林 光一 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60156437)
清水 和弥 東京大学, 工学系研究科, 特任助教 (80373447)
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (10312662)
|
研究概要 |
液体ロケットエンジンや高負荷なディーゼルエンジンなどのエンジンで現れる超臨界燃焼流れに対して,分子動力学法や量子分子動力学法などを駆使したマルチスケール解析手法により酸水素燃焼反応における熱物性データや状態方程式の構築,燃焼反応モデルの構築を目指している.世界的に見てもこれらのデータは大きく不足しており,これらを構築することで超臨界燃焼流体を対象とした圧縮性燃焼流体の数値解析の発展に大きく貢献できると考えている.本年度の研究の成果としては,それぞれ次の通りになる. 熱物性データや状態方程式の構築については,低温水素に対するGAUSSIANO3を用いて分子軌道計算を行い,高精度の分子間ポテンシャルを求めた.このポテンシャルを用いて同様に温度・密度条件を与え分子動力学計算を行った.その結果,100K以上の超臨界領域においては,古典的手法を用いて水素の熱物性を再現できた.しかし,亜臨界領域においては高精度のポテンシャルを用いても水素の熱物性を再現することができず,実験値とも一致しなかった.このことから,液体水素の熱物性を再現する為には,古典的な手法ではなく,量子効果を考慮した非古典的な手法を用いる必要があることが明確に示された. 次に燃焼反応モデルについては,高圧における信頼性が高い詳細化学反応モデルの一つであるKoshi modelを引き続き改良してUT-JAXA 1.0として公表した.また,化学反応におけるstiffnessを改善するために,Rate-Controlled Constrained Equilibrium (RCCE) methodの検討をを酸水素燃焼およびメタン酸素燃焼に対して行い,どちらもstiffnessを改善するには効果的であることが示された. 最後に流体解析手法の改良として低速流れへの対応を実施した.特に新しい前処理型数値流束計算法としてAUSM+-upを新規に導入し,これまで使ってきた前処理型AUSMDVと同等の結果を得ることが確認できた.また,2次元円柱周りの非定常解析についても抵抗係数などへのRe数の依存性を調査し,特にRe>400では3次元性が流れ場に強く影響することを確認した.
|