研究概要 |
ナノ秒パルスYAGレーザーを光源として、可視光(532nm)および紫外光(266nm)でのマイクロドリル加工を行った。紫外光で実験を行うために光学系の一部を紫外光用に変更し、金属材料に対しての加工を行った。その結果、紫外光での加工では副次ロブに起因する加エダメージ(多重リング構造)が目立つことが分かった。この原因としてアクシコンレンズにて発生させたベッセルビームのビーム形状が、適用されるレーザー光の波長によって異なっていると考察し、フレネル回折を基本とした数値解析を行った。アクシコンレンズの円錐対称軸と底面のなす角の角度ずれに着目し、解析を行った結果、1.波長が短くなるほど、角度ずれの許容値が小さくなる。2.半頂角が小さいほど,角度ずれの許容値が小さくなることが分かった。解析の結果、266nmのレーザー光を適用してベッセルビームを発生させる場合はアクシコンレンズに求められる工作精度が厳しくこともあり、DOEアクシコンの設計を行った。材質は石英とし、それぞれ半頂角80°,85°,88°のアクシコンレンズに対応する設計とした。金属・高分子材料に加え、セラミックス(窒化アルミナ)に対してのマイクロドリル加工を行った。金属材料に対する加工では酸化に起因する副次ロブによる加工ダメージが目立つ傾向であるが、セラミックスの酸化物は白色であることからも、加工ダメージ(特に着色)はそれほど目立たないことが分かった。また532nmのレーザー光で発生させたベッセルビームで、アスペクト比約5のマイクロサイズオーダーの穴を形成する事ができた。355nmの紫外光を用いたポリイミドへのマイクロドリルでは照射エネルギー密度を適切に選択することにより、副次ロブに起因する加工ダメージを低減できることが分かった。
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