研究概要 |
本研究では,化粧品の粒子デザインの観点から,「皮膚表面の微粒子が皮膚の光伝播に与える影響」を予測できる解析モデル,および,シミュレータの開発を最終的な目標としてあげている.昨年度では,まず,皮膚・空気界面での光挙動に与える皮膚のキメ(皮丘,皮溝)の影響を明らかにするために,キメ構造を表面に転写したプリズム作成し,キメによる光散乱の詳細を調べ,これを独自に考案した解析モデルと比較した.平成20年度では,前年度の課題であった解析結果と実験結果の違いを調べるために,解析モデルの見直しを行っている これらの研究と並行して,昨年度では,皮膚内部の光伝播の詳細を知るための,皮膚の光物性計測装置の開発を行った.具体的には,装置の第1次試作として,装置の分光部の設計,製作,および,その妥当性の検討を行った.本年度は,実際に光物性を測定するために必要となる,縞状の入射光束(多重スリット像の投影)を実現させるために,光源部の設計,製作を行った.本装置は,紫外光から近赤外光にわたる広い波長範囲で皮膚の光物性計測を実現させようとするものであるが,本年度では,紫外光から可視光の領域で,皮膚の光物性を計測することに成功している.さらに,昨年度では,化粧品粒子の散乱性質を把握するための解析コードの開発を行い,3次元の複雑な粒子構造に対応可能であることを確認した.平成20年度では,広い範囲に分布する粒子群を取り扱うための,周期境界の導入を行い,その妥当性の検討を行っている.
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