研究概要 |
ピエゾ素子を利用した微小振動子とこれに付随するマイクロ触覚プローブから成るシンプルな構造を有するセンサーを構築した。ついで,立体ダブルL型カンチレバー状に加工した振動子に,直交3軸方向それぞれの変位が制御できるように3枚のピエゾ素子を接着し製作した。これらのピエゾ素子に任意の信号を入力することによりアクチュエータ先端の変位を高精度に制御でき,3次元的に自由なアクチュエーションが可能となる。また,任意の振動数で励振させることも可能である。本センサー・アクチュエータ複合デバイスを,高精度マイクロマニピュレータ・倒立型位相差顕微鏡に組み込むことによりシステム構築を行った。次いで,力学物性が既知のシリコンマイクロゴムブロックを用いたデバイスの精度検証を行った。 メダカの受精卵を用い,実際の人工授精あるいは遺伝子診断のための胚生検操作を想定し,これと全く同様の処置・操作を施す手法を確立した。すなわち先端直径数μmの極細ガラスニードルで卵細胞の一点を数μm程度穿刺してローカルな損傷を付与し,一定時間後,卵細胞に3次元マイクロアクチュエータを用いて動的力学刺激を付加する。次に、マイクロセンサーを用い,損傷の回復度を卵細胞の力学的コンプライアンス(やわらかさ)から定量的に評価検証する手法を開発した。これにより,受精卵細胞の損傷回復の可能性を確認した。また,培養ヒト骨芽細胞についても3次元的センサーアクチュエータの小型化改良により,同種の評価が可能であることを確認した。さらに,蛍光染色による細胞内部観察を行い,力学刺激との関連を評価可能であることを確認した。
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