研究課題
振動試験装置に大型の試験体が搭載される場合、振動台は試験体からの大きな反力の影響を受け、振動台の動きは目標のそれとは大きく異なったものとなる。また、E-Defenseに代表されるような世界最大級の大型振動台とはいえ、搭載できる実スケールの試験体には限界が存在し(最大5、6階建相当の構造物)、実在する多くのより大型な構造物や機械システムをそのまま搭載して加振することはできない。そこで、本研究では、実際の大型振動台の挙動を精度よく模擬できる多自由度振動台を作成し、我々がこれまで提案してきた種々のモデル化および制御手法を、この装置に適用することにより、さまざまな角度から検証を行い、実際の大型振動台に適用可能なレベルにまで引上げるとともに、大型振動台を用いた実システムの有効な加振実験手法の確立を目指した。本研究で得られた具体的な成果を下記に示す。(1) 平成19年度に製作した3自由度電動加振装置に対して動特性同定実験を実施し、その挙動を精度よく表わす数学モデルを導出した。(2) (1)の3自由度振動台の数学モデルをベースに、我々が提案するDual Model Matching (DMM)法により制御器を設計し、高周波数領域まで優れた目標値追従特性を有する制御系が実現できることを実験により実証した。(3) 大型振動台が従来より困難であった長周期地震の再現を、積層ゴムによる共振を利用するとともに、田川が提案するIDCS法により入力波形を生成することにより、世界最大の振動台E-Defenseにより再現することに成功した。(4) 被加振体となる構造物の減衰が小さい場合、被加振体の反力の影響により、共振周波数近傍において振動台の加振性能が劣化する問題に対して、DMM法により有効な制御器を設計することによりその性能を著しく改善できることを、油圧加振装置により実験により実証した。
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International Journal of Control Vol. 82, Issue 4
ページ: 585-602
日本建築学会構造系論文集 628
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日本建築学会構造系論文集 634
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