研究概要 |
本研究の目的は,生物の個体発生過程をモチーフとして,幾何学的に複雑な形態への安定かつ自発的な自己組み立てを実現する群ロボットの構築をダイナミカルアプローチの立場から議論することである.以下,本年度に得られた研究成果を具体的に示す: 1. 非線形振動子の相互引き込みを活用した凝集力の誘起,ならびに群ロボットを構成するロボット間の物理的な相互作用を活用することで,自己組み立てを完全自律分散的な制御方策で実現した. 2. 各ロボットに受動的な変形機能を持たせることで,安定かつ迅速な最安定形態への収束を実現した. 3. 群ロボット全体に誘起される凝集力に異方性を持たせることで,最安定形態の対称性を破ることが可能となった.その結果,最安定形態を十字型や楕円,矩形といったものへと改変することができ,これらの形状への自己組み立てが安定的に行われることを確認した. 4. 本研究の特色のひとつは,自己組み立てによる変形プロセスを力学的な最安定形態への時間発展の帰結として捉えている点にある.この利点を活用して,提案手法が優れた自己修復機能をも併せて有していることを確認した. 5. 実験的に妥当性を検証するための群ロボットの設計・製作を行った.本年度はプロトタイプモデルとして3台のロボットを製作し,局所的な通信によって非線形振動子間の引き込みが行われることを実験的に確認した.
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