研究概要 |
従来のハイブリッドシステム理論に基づいた判断フェーズのモデル化では,まず,観測された行動をモード分割し,各モード間の分離面を推定することでその数理モデルを導出していた.この手法では,人間の判断フェーズは確定的なプロセスとして記述されるとしてきたが,実際の人間の判断には多くの確率的なばらつきが存在する.そこで本研究では,判断フェーズの数理モデルに対して,認知情報を表現する連続的な変数から,「選択する」「選択しない」を表す二値変数への写像を確率的なばらつきを考慮に入れて表現するという枠組みを新たに提案した.特に判断ミスを数理的に捉え定量化する際には,確率的ばらつきの導入は重要であると考えられるため,本研究ではまず主目的として,従来のハイブリッドシステム理論に基づいた判断プロセスのモデル化手法を拡張し,モード遷移条件(判断フェーズの数理モデル)に確率的ばらつきを導入した新たなハイブリッドシステムモデルを提案し,そのパラメータ推定手法の開発,ならびに運転行動における判断予測への応用に取り組み,成果を挙げた.
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