研究概要 |
本年度ではまず,ロジスティック回帰モデルをモード存在条件に組み込んだ新たなハイブリッドシステムモデルを提案し,観測データに基づいたそのパラメータ推定手法を提案した.具体的には,各モードにおける動作をAuto Regressive Exogenous (ARX)モデルと呼ばれる数理モデルを用いて表現し,各モードでの滞在確率pをロジスティック回帰モデルを用いて表現した.このとき,ARXモデルの中に現れるパラメータは各モードでの動作の特性を表すパラメータと解釈することができ,ロジスティック回帰モデルの中に現れるパラメータは,判断の特性を表すパラメータと解釈することができる.そして,ロジスティック回帰モデルを組み込んだ新たなハイブリッドシステムモデルに対するパラメータ推定問題を定式化し,パラメータ推定則を導出した.提案手法により,動作と判断の混在した行動の数理モデルが獲得でき,それらを特徴付けるパラメータを推定することが可能となった. また,本研究では,得られたロジスティック回帰モデルのパラメータから判断のエントロピーなる指標を提案し,人間の判断特性の定量化を可能とした.得られた成果を運転行動の解析に適用し,その有用性を立証した.本研究の成果は国際的にも高く評価され,2008年のInternational Conf. on Control, Automation and SystemsでOutstanding Paper Awardを受賞した。
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