研究概要 |
本研究では,第1に,受動歩行における脚の振り運動の力学的メカニズムを明らかにした。具体的には,遊脚膝の屈曲、伸展のメカニズムを見出した。さらに,円弧足の力学的効果およびそのメカニズムを明らかにした。円弧足は,支持脚膝を真直ぐに保持する働きがあり,さらに常に遊脚膝を屈曲させる作用を持っていることを示した。第2に,受動歩行原理に基づいて,より良く歩けるロボットの開発を行った。具体的には,脚が本来有しているダイナミクスを最適化し。よりロバストな脚運動を実現した。また,その有効性は,連続歩行実験により実証された。支持脚が折れ曲ったり,遊脚が床面に接触したり,後方に倒れることが少ないより良く歩けるロボットとなった。さらに,受動歩行機に最適な無線式センサシステムを構築した。加速度センサ,角速度センサおよびポテンショメータを搭載し,種々の衝突現象を含む受動歩行の様子をより的確に捉えることができた。第3に,受動歩行原理に基づきヒトの歩行解析を行った。具体的には,大人サイズの歩行機を開発し,歩行速度2.7〜2.9[km/h]の受動歩行を実現した。しかも,その脚運動は,ヒト歩行とかなり近いものであった。しかし,ヒト歩行では,大腿部の角度が-20[deg]程で変化せず下腿部の角度が減少,すなわち遊脚膝が伸展している点が異なっている。
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