研究概要 |
本研究では,受動歩行原理に基づいた,より良く歩ける最新型の受動歩行ロボットBlue Bipedを設計・製作した(2008年度グッドデザイン賞受賞).本ロボットにおいて,歩行安定化のための股角度拘束機構は,フレームを大腿部の前後に配置し,取付け部にシム等を挿入することで,着地時の股角度を28〜34[deg]に調整できるようになっている.また,転倒時に床面と衝突することを想定し,十分な強度を持たせ,股関節周りも保護している.外脚下腿部同期機構は,カーボンロッドを使った平行リンク機構を外脚内側に配置(転倒時の保護)し,一方を下腿部上端(膝の位置)に直接固定し,他方を股関節軸にクランプした. 歩行実験の結果,スロープ角度6.3[deg]にて,歩行速度3.3[km/h]の受動歩行を実現した.脚長の違いはあるが,現在最先端の歩行ロボット(2.0〜2.7[km/h])と比べても速い歩行速度となっている.また,股関節軸の両端に自重と同じ総重量10[kg]の負荷ウェートを付け,機構上特段の変更は行わず歩行実験に成功した.これは,受動歩行ロボットの優れた特徴の一つである.また,進行方向制御を目的として方向転換システムを構築し,小型受動歩行ロボットを使って,約16,000歩(歩行時間約2時間10分)の連続歩行記録を樹立した(膝ありタイプではおそらく世界記録である). 実現した歩行は,ヒトの歩行とほぼ同等な歩容となっている.ここで重要なのは,脚軌道をヒト歩行に合わせているのではなく,歩行ロボットのもつダイナミクスと環境との相互作用のみによって,ヒトに近い歩容が生成されていることである.
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