研究概要 |
近年の神経科学や機能的脳画像の進渉により,損傷を受けた脳において,その便用が脳の可塑的な変化を起こすことが分かってきた.また,そのような変化と運動機能の回復が関連することが明らかになってきた.それに伴い,リハビリテーションの方法論から神経科学的裏づけという流れ以外に,神経科学からの知見からリハの方法論の創造という新しい流れが生じつつある.この新しい潮流を確立するためには,高度な計測装置のみならず,リハ手技自体にもリハビリ支援システム等を導入することによって定量的な手技評価を実現することが必要不可欠である.本研究は,上肢運動機能に障害を持つ患者のみならず虚弱高齢者の上肢機能の回復にも役立つ,安全性が高く,かつ手技の定量評価可能なリハビリ支援システムの開発,およびそれを用いた新しいリハビリテーション手法の確立を目的とする. 本年度の研究においては本に(1)3次元上肢リハビリ支援システムを用いて理学療法手法に対する上肢リハビリソフトを開発した.(2)近赤外線光を用いたスペクトロスコピー(NIRS:nearinfrared spectroscopy)による光イメージング(機能的NIRS:fNIRS)を用いて上肢リハビリ時の脳活動を森之宮病院において測定した.NIRSにおいては,酸素化ヘモグロビンや脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化により光信号が変化する.この変化を用いて脳活動の計測を行った.(3)上肢リハビリ支援システムに取り付けられたセンサおよびモーションキャプチャー(現有設備)による測定により,上体姿勢および上肢姿勢を計測した.また,6軸力センサにより力,筋電計により筋電を計測し,評価を行った.(4)昨年度に開発した準3次元のパッシブ型上肢リハビリ支援システムを用いて,リハビリ訓練用ソフトウェアを作成し,実際の障害者を対象とした臨床試験を行った.
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