研究概要 |
本研究の目的は,人との接触を前提とし,より安全で柔軟性を兼ね備えたフレキシブルに働くロボットハンドの開発である.この目的を達成するために,まずロボットハンドの駆動源であるアクチュエータに着目した.人との接触を前提としているため,安全性を考慮して駆動源としてマッキベンタイプの人工筋を用いることとし,独自に開発した低圧駆動型空気圧アクチュエータを使用した.知的クラスター事業で開発した低圧駆動型空気圧アクチュエータを22本用いた5指ハンドを試作し,物体の「握り」と「摘み」動作を確認した. さらなる器用さの実現を図るため,手首関節に橈屈・尺屈と内転・外転の2自由度を付加するため,5指ハンドに小型軽量のモータ装置を組み込んだ肘から先を持つ5指筋電義手のプロトタイプを試作した.手首に追加した自由度は,義手としての自然な動きを実現できるようにワイヤ腱駆動方式を導入し,2つのモータを協調駆動することによって,トルクの低い小型モータで,60Nのトルク発揮を実現した.また,ワイヤ駆動による非線形性と物体把持による負荷変動に対してロバストな制御系として,目標値に対する手首の偏差角度と偏差各速度を入力とするファジィ制御を提案し,実験によってその有効性を実証し,同志社大学工学研究科博士課程(前期課程)修士論文に纏めた. また,空気源として試作した小型圧縮機および円筒の周りにサーボバルブを配置することによって小型化を実現したサーボバルブを用いて,試作した5指ハンドが駆動可能であることを確認した.5指ハンドの制御の有効性を実証するためマスタ・スレーブハンドの制御を実現し,機械学会論文に纏めた.
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